舘野泉さんは2012年の今年から2年間かけて計16回のコンサートを行います。
題して「舘野泉フェスティヴァル」! 現在75歳。ますます意欲的な舘野泉さんの記者会見でした。
この日もいつもの変わらない優しい笑顔で話し始めました。
週末に左手のためのピアノ協奏曲を書いていただいている一柳彗氏とお話したそう。タイトルは「フィンランド」の予定。壮大な構想があるようで楽しみ、と舘野さん。左手の作品をまとめて演奏したいという構想は3年前くらいから。交流のあるウィーンのサスマン教授が「現在、左手のピアノのための作品は日本が、個性的で素晴らしい発展をとげている」と、おっしゃってくださった。いろいろ構想を練っているうちに、ソロ曲だけではなく、室内楽、オーケストラとの協奏曲も、と夢がふくらんできたそうです。徐々に考えをまとめていき、全部で16回、4つのシリーズとして行うことになりました。今回、記者会見をさせていただいているヤマハ・コンサートサロンでも「響きあう小さな部屋で」というシリーズの公演を行います。
のどが乾いちゃったので…と言い、長年の友人(東京芸大の同級生!)であり、舘野さんのために左手のピアノのための作品も書いてくださっている末吉保雄さんが、左手の世界、左手の演奏技術についてお話くださいました。
舘野泉さんの演奏は、熟練の域に達している…左手で演奏する時に、鍵盤を折り返してくる時のテクニックなど。新しい世界、地平が開いているのを感じる。
そろそろ、喉の渇きもおさまりましたか?と言って、質疑応答へ
―日々の生活について、気を付けていること。
「食事を作ったり、散歩をしたり、ピアノの練習をして暮れていく。ピアノは夜の10時以降は弾けないので、その後は大好きな焼酎を飲みながらニュース番組などをはしごする。最近はスポーツ選手を取材したものなどもよく見るが、演奏法の解決になるヒントをもらえることもあるんです。
左手での演奏は長い鍵盤を行ったり来たり、それに左手だけですべてを演奏しなくてはいけないので休む間がない!とても体力が必要なんですね。それに年も年だし、そろそろ筋トレなんていうことも考えなくてはいけないかなぁ、と考えています。」
―海外での演奏活動について。
「ここ4年くらい、海外でも演奏して欲しいという依頼も多くなりました。ブダペスト、ウィーン、トゥールーズ、フィンランド、エストニアなど…また、60年来の夢でもあるモンゴルにも行って、オーケストラと共演する予定もあって、楽しみにしています。」
少しつけくわえたいのですが・・・と末吉保雄先生。
「今回の「舘野泉フェスティバル」は、我々の世代の作曲家による作品から、若手と呼ばれる年代の才能、さらに海外からも意欲的な作曲家にも委嘱するという構想です。時代も時空を超えて新たな指標を示しているのです。」
同世代(同級生!)のアーティストと演奏すると、長い時を重ねた経験、音楽に対する思いなど共有することができる。と同時に息子たちの世代の演奏家との共演も大きな意義があると感じるし、嬉しい。と、舘野さん。
和やかな雰囲気で続いた記者会見。最後に記念撮影をして終了しました!
第1回 新たな旅へ…ふたたび〜
2012年5月18日(金) 19時開演 第一生命ホール
曲目:
バッハ(ブラームス編曲): シャコンヌ BWV1004より
スクリャービン: 左手のための2つの小品 作品9 前奏曲・夜想曲
間宮芳生: 風のしるし・オッフェルトリウム(舘野泉に献呈)
★日本初の左手ピアノ独創曲(邦人作品)
ノルドグレン: 小泉八雲の「怪談」によるバラードU Op.127(舘野泉に献呈)
振袖火事・衝立の女・忠五郎の話
ブリッジ: 3つのインプロヴィゼーション 夜明けに・夜のお祈り・酒宴
★左手のピアニストとしての復帰を決意させた、息子ヤンネから贈られた楽曲
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