2010年05月10日

ツィメルマン、いよいよ公演間近!(日本来日直前公演レポート)

ウィーンのツィメルマン、これ以上、なにを望むことがあろうか!

 ショパンの生誕200年にあたり、記念ツアーを繰り広げているクリスティアン・ツィルマンが4月29日ウィーン楽友協会に登場してセンセーションを巻き起こしている。プログラムは「ソナタ第2番“葬送”」、「同第3番」を中心に「ノクターン 嬰ヘ長調」、「スケルツォ 第2番変ロ短調」、「舟歌」から成る世界共通。外見はいつものように悠然としているものの、ステージに出てきたときから彼の意気込みの尋常ではないことが伝わって客席は金縛りにあったような面持ちだ。
 現在、ショパン演奏にかけてはツィメルマンが孤高の存在であり、ひとり傑出しているというのが衆目の一致するところだ。それだからこそ、彼が“記念イヤー”に際して故国の偉大な芸術家を讃え、決意を新たに取り組むショパンに対して、聴衆の期待が際限なく膨れあがっていると言い換えることが出来るだろう。

 思わず襟を正したくなるような研ぎ澄まされたツィメルマンのピアノの世界が、楽友協会大ホールの隅々までに浸透していく。休憩後に弾いた「ソナタ第3番」が、「これ以上、なにを望むことがあろうか!」と溜息が出るほどの完璧な仕上がりだ。彼の演奏スタイルとして、内に秘めた想いが直接音に現われるというよりは、一歩退いて自分の演奏を怜悧に見つめる姿勢が指摘されると思うのだが、それによって生み出される音楽の品格の高さは比類がない。今回の「ソナタ第3番」はその品格を保持したまま、まさに“知”と“情”が理想的なバランスで表出された稀有な例ではないだろうか。
 「ソナタ」とともにショパンの芸術の最高峰だと筆者が考えている「舟歌」。ツィメルマンのピアノは洗練の極みであり、これまた息を飲みそうになるほど見事である。
 そして、ツィメルマンが全曲を弾き終えたときの会場の反応が、ほとんど熱狂のそれに近く、ウィーンでこのような光景は滅多にあることではない。

 今回、ホールに入っておもしろい発見があった。ピアノの大蓋が閉じられたままであるのは、直前の会場リハーサルで自分が弾き込んだピアノの状態を、そのまま30分後の本番まで保持したいからであろう。だから休憩時にも、ステージ上のピアノから最短距離の座席にいた調律師によって大蓋は再び閉じられた。彼が自分の楽器を持ち運ぶのはよく知られているが、このような楽器へのこだわりは、自分の音楽を構成する重要な条件として完璧にコントロールされたピアノが不可欠であるということであり、ツィメルマンの演奏を実際に知れば、おおいに理解できるところではある。

 この8月の“ザルツブルク音楽祭”でツィメルマンが弾く、その同じプログラムを、おそらく同じような高い完成度で聞くことが、いま日本で可能なのだ。
 我々と同時代に生きる至高の芸術家、ツィメルマンが到達した境地の、その一端を垣間見ることが出来るチャンスに違いない。

文: 山崎睦(ウィーン在住 / 音楽ジャーナリスト)


  
zimerman_flyer.jpg≪クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル≫
2010年6月3日(木) 19時開演 サントリーホール
2010年6月5日(土) 18時開演 サントリーホール
2010年6月10日(木) 19時開演 サントリーホール

曲目は下記URLからご確認ください。

<チケットの購入>
WEB:こちらから
TEL:ジャパン・アーツぴあコールセンター (03)5237-7711
詳しい公演情報はこちらから




posted by Japan Arts at 11:23| クリスチャン・ツィメルマン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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