2010年02月25日

アンスネス&ノルウェー室内管弦楽団 連載(4)「アンスネスのインタビュー後編」

〜ノルウェー室内管弦楽団との来日は長年の夢だった
取材・文 青澤隆明

 アーノンクールが指揮するウィーン・フィルとの共演は、アンスネスにとって大きな音楽経験に違いない。なによりオーストリアの偉大な伝統が息づいている、と彼も語ったが、それに先立ってモーツァルトは友人のような存在である。彼の協奏曲に関して言えば、室内オーケストラと共演するほうがずっと演奏しやすい、とアンスネスは率直に打ち明けた。
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 「モーツァルトのピアノ・コンチェルトは、まず木管楽器の役割が独特で、きわめて室内楽的な音楽づくりが求められる。室内オーケストラではたいてい指揮者なしで演奏するから、すべての演奏家が直接に対話し合うことから多くを得られる。コミュニケーションがとても大切で、それこそ演劇的な音楽だと僕は思っている」。
 この3月に初来日するメルウェー室内管弦楽団との共演でも、アンスネスはモーツァルトに集中する。指揮者を置かず、演奏家個々の自発性を重視するこのチェンバー・オーケストラに、アンスネスは"首席客演ディレクター"の肩書きで関わっている。ピアノ協奏曲のレパートリーに関して、アンサンブル・リーダーとして弾き振りをしながら、緊密なコラボレーションを重ねてきた。
 「ノルウェー室内管弦楽団との来日は、僕の長年の夢だった。このオーケストラとの共演を始めてから、長年ずっと願っていた。日本に行くのは大好きだし、日本の聴衆は素晴らしい。そして、僕はこのオーケストラを愛している。だから、とても幸せに思うよ。みなさんが、このオーケストラを楽しんでくれると、ほんとうにうれしい。素晴らしく柔軟な、生き生きとしたオーケストラだからね。みんな長年の友人たちだし、たくさんツアーも経験したので、大きな信頼関係を抱いている。そして、なによりこのオーケストラには自由がある。フルタイムのオーケストラではないから、こうして集まって演奏するときは、いつもフレッシュな感覚が得られるし、ひとつひとつのコンサートがほんとうに特別なものになる。リハーサルにもたくさん時間をかけるので、さまざまなことを試しながら演奏を練り上げていける」。
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 ツアーのメイン・プログラムは、モーツァルトのイ長調協奏曲第23番K488、ハ短調第24番K491、その間にモーツァルトのニ長調交響曲K.385「ハフナー」、グリーグの「ホルベルク組曲」が演奏される。ピアノ協奏曲の傑作が2曲並ぶのは大きな魅力だ。
「第23番と第24番の2つのコンチェルトを演奏できるのはとても幸せだな。短い期間に作曲されているのに、まったく異なる作品だから、この組み合わせは興味深いと思う。第23番は、モーツァルトにとっても特別なピアノ協奏曲で、イ長調の調性はおそらく天国的ななにかを表現し、慰めをもたらすものだったと思える。終楽章は暗めで、天国的な要素は控えめかもしれないけれど、それでも響きは慈愛に充ちている。ハ短調は真にドラマティックな協奏曲だ。終楽章は、モーツアルトの書いたもっともすぐれた変奏曲だと思う。いっぽう第2楽章を比べると、第23番は非常に暗いが、24番はほとんどラヴ・ソングのようだ。ピュアな幸福感に溢れていて、とても愛おしい・・・・」。
今回のプログラムでは、ピアノ協奏曲ではアンスネスが、それ以外では今シーズンから新たに音楽監督として加わったイザベル・ファン・クーレンがリーダーを務めるというから、オーケストラの表現の柔軟性とともに、そのコントラストも楽しめるだろう。
「そのほかはイザベル・ファン・クーレンの選曲で、僕は演奏しないのでわからないけれど(笑い)、「ハフナー」は祝祭的な作品だから、モーツァルトのまた大きく異なる一面をお聴きいただけると思う。グリーグにとっても、モーツァルトは絶対的な敬愛を寄せる作曲家だった。ホルベルク組曲は様式的にも、バロックと古典派のもつ純粋さをもっていて、そこがモーツァルトにも通じる。オーケストラは大きな自信をもって演奏すると思うよ」。


≪公演情報≫
『アンスネス&ノルウェー室内管弦楽団』
2010年3月21日(日) 14時開演 東京オペラシティ コンサートホール
曲目:
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
グリーグ:ホルベルグ組曲 (ホルベアの時代より)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
詳しい公演情報はこちらから


posted by Japan Arts at 14:09| レイフ・オヴェ・アンスネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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